詩集 生々の綾
人間は死とともにあるときのみ真実だ――。
生きてあることの内なるつながり
混迷を深める人の世に
宇宙と地上の声が響く
洞察する求道の新詩人、ここに誕生
(帯文より)
解説:佐相憲一
A5判/128頁/並製本 ISBN978-4-86435-382-3 C1092
2019年3月5日 初版発行
定価:1,620円(税込)
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読者の声
全体の潔さ、透明度、限りない可能性、香りの良さがとても心地よい詩集。奇異をてらわず、饒舌ではない、本当の詩の言葉を、久しぶりに読ませていただきました。
30代とは思えない、どっしりした骨格をお持ちであることに打たれると同時に、今までに出会ったことのない詩の数々に良い刺激を受けました。
栄枯盛衰の世の中で、いかに生き、いかに死ぬかという哲学的な思いを抱かせていただきました。そこには祈りがあり、人間としてのあるべき姿を訴えていると感じました。
怜悧の詩。全編を通じて詩人の魂が横溢していました。深い哲学と鋭い洞察力で社会をえぐる詩集だと思います。
過去、現在、そして未来へと、綾なして繰り返される生死。優れた詩人というのは、物事の本質を鋭く突く鋭敏な感性と愛を備えて、生きることの意味と喜びを詠いあげてくれるのですね。
詩篇のあちこちに、あなたが敬愛しているロマン・ロランの姿が見えるようでした。私も若いころ、ロマン・ロランを愛読し、人生の道標を得ましたが、2019年に再びロマン・ロランとまみえることができ喜びを感じました。
私は文学や詩に疎い人間ですが、深い感動を感じて一気に読み終えました。「大きな可能性を秘めた詩人が出現した」という評価に同感です。
作品概要
2016~19年に書かれた38篇の詩と2つの散文を収録。第1章は、独特の諧謔とペーソスある詩情、ユニークな発想が読む人を驚かせる。第2章は、人類史と現代世界の巨大な負の側面への批判精神が炸裂する。第3章は、子どもたちとの心のやり取りがほっとさせる詩群。悲惨な世の中に未来の光を願うとき、世界にはまだ救いがあると感じられる。
「こうして詩集は有機的につながり、人間世界への悲しみや怒りが、それらを直視することでもうひとつ向こうの光を見い出し、静かな闘志、あるいは内省的ないとおしみへと深まっていく(中略)繊細で骨太な詩世界である」「ともすると絶望感がにじむ、この一見汚れ切った世の中で、あえて本当に美しいものを探っていこうという、志ある詩人の誕生を祝福したい」(詩人・佐相憲一氏の解説より)
【収録作品から】
地獄はいつも雨
つみびとたちの魂が
まっすぐに落ちてくるから
鬼の傘に降る魂は
音をたてて弾ける
なぜ地獄に落ちたのか
わからないとでもいうように
(「地獄はいつも雨」から)
あらゆる在るもの
いのちのすべては
大切なあずかりもの
未来への献身の果てに
やがて大いなる生命へと
その存在を還す
そのときまで
ともに在る
ということの
奇跡を抱きしめながら
きみたちの日常がいつでも
いつまでも
笑顔であふれますように
(「わが子たち」から)
すべてのものは流れゆく
雲のようにかたちをかえて
吹きぬける風の向こうには
ただ 青空
進め
(「希望」)